HTML5カルタ製作に携わらせていただいたので裏話書きます。 #HTML5KARUTA

2013年01月07日(月)【
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さる1月6日、日本各地の会場で「HTML5カルタ」と言うイベントが開催されたわけだけれども、参加された方もおられることでしょう。

実はこのカルタの製作はワタクシmasakiも参加させていただいておりまして、主に写植・印刷面・パッケージ作成でイロイロとアレコレしていました。
twitterでは発送直前までひたすらに、ただひたすらに黙っていたので、本当に一部の方しか知らないところとは思うけれども、密かに携わっておりました。

なんというか、ものすごーーーーーーーーーーーーーーーーーーく!!!!!
頑張ったものでもあるので、主催者のWEBCRE8様より許可を貰い、裏話などを書いて行こうかなと。

一般販売もされるとのことなので(と言うか、するので)、イベントですでに触れられた方も、これから購入したい! と言う方も、まったく興味の無い方も、製作物を作り上げるまでの苦労やプロセスについてのお話として見てやってくださると、僕の頑張りも少しは報われることでしょう。

ということで。

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最初の難題。紙のこと。印刷の壁。

今回のHTML5カルタは、カルタと言うよりも、ほとんどカードのような形状をしている。

厚さも厚手の名刺で、サイズも名刺サイズと、言うなればそのまんま名刺のようなものなんだけれども、当然カルタと言うにしては薄いって疑問が最初に来ると思う。

これにはワケと言うか、いろんな事情があった。

最終的に現在の名刺サイズ、名刺レベルの厚さに収まったが、これはただ薄くするだけでは面白く無いので、
「カルタで遊んだあとは実践で使いやすいようにする」
「収納しやすく、持ち運びも出来る」
って言う形に昇華させ、再度それ用に紙質の再選定、デザインを再構築させていたりするので、決して中途半端に今の形にしていると言うわけではないことをお伝えさせていただきたいと思う。

厚紙印刷の問題

カルタで使われる紙って言うのはそもそもが結構分厚い。
厚さで言えば大体0.5mm程度なんだけど、実はこのレベルになると、普通の印刷機では紙が通らないのだ。

ということは、特殊な厚紙印刷用の印刷機を持っている印刷所を探さなければならないのがひとつ。もうひとつは、そういう印刷物は得てして高額だ。

実際に見積もりを出してみたんだけど、提示予算に対して0が一個多い。

この時点ですでに厚紙印刷は無理で、じゃあ別の方法で「合紙(2枚以上の紙を重ねて圧着させて厚さを確保する方法)」と言う方法も考えたんだけど、やっぱり同様に0が一個多い。

さすがに個人製作でここまで予算突っ込むのも無茶な話で、妥協に妥協を重ねて0.25mm(ハガキより若干厚手)まで頑張ってみたけど、やっぱり無理だった。
とにかく高い。

コストの問題

ネットで多少なら厚紙OK、格安でやってくれる印刷通販とかも結構あるんだけど、当初は

「100枚で2500円なら、10800枚印刷でお釣りが来るだろー!(印刷は印刷枚数が多ければ多いほど1枚単価が安くなる)」

って思ってたものの、相当に見積もりが甘い。

この手の印刷所って言うのは、「印刷したものを商品として通販しますよ」って言うスタイルなので、1デザインにつき枚数分の料金がかかる。

ということは、HTML5カルタは216デザインあるわけで、それぞれ100枚ずつ印刷するとしたら、2500円×216種類と言うことになる。

DTP用語における「多面付(例えばA4用紙に9種類の名刺デザインをまとめて出力すること)」でなんとかならないか交渉してみたが、やっぱり相手も格安で印刷を引き受けてる以上、例外は無い。

とは言え、非常に丁寧な対応を頂き、ネット上からの問い合わせにもかかわらず、内容が内容だけにと直接電話で応対してくださった印刷通販サイト様にはこの場にて御礼申し上げたい所存。

時間が無い

HTML5カルタ製作の相談を受けたのは11月の下旬。
希望納期は年内と言うことだったのだが、印刷所探しが難航に難航を極め、最終的に名刺カード形式にすると決定し、予算ギリギリでなんとか印刷できるところを確保できたのが12月の中旬。

この時点で実はかなり絶望的で、いくつか予算内に納まりそうなところはあったものの、納期が1月下旬と言うことで無理。とにかく尻に火が点いている状態だった。
最終的に僕が懇意にしている印刷所のほうで対応してもらえることが決定したものの、それでも1週間はかかるとのことで、今考えても、どうやって1月6日に間に合ったんだってのは奇跡に近いと思っている。

時間があればもっと選択肢はあったかもしれない。

しかし、たった1ヶ月と言う間。さらにお互いが日常で仕事をしている身なわけで、その合間を縫うわずかな時間でしか打ち合わせが出来ないこともあり、その中でギリギリまで詰めて詰めて、最終的な判断として名刺カード形式にしようと言うことで一致したのである。

もっと希望したいことはあったと思うし、今でも内心悔やまれていることもあるかもしれないけど、この時点における最良の決断だったと自負はしている。

カルタデータ製作秘話

写植の話

今回は読み札の場合、見出しとなる部分は「はんなり明朝(日本語部分)」と「A1明朝(欧文部分)」の合成フォントとし、最下部の詳細説明は「新ゴ(日本語部分)」、「Source Sans Pro(欧文部分)」の合成フォントにしている。
取り札のほうは写植はノータッチ。読み札も基本原稿はいじらず、写植だけを担当した。
極端に日本語文法的に??の部分は指摘・修正はしたものの、内容までは把握してないので、つっこまれても僕わかんないので悪しからず。

カルタなので、それっぽい雰囲気があるほうがいいなーって言う希望があったので、見出しは雰囲気を出しやすいもの。
文字の流れも、読み手的に読みやすさを重視して、結構カルタとしてのセオリーは無視している。

詳細は小さな文字となるため、小細工はせずに可読性を意識して新ゴを使ったのだけれども、なにぶん写植スペースが狭いため、欧文が長くなるとおかしなところで改行されてしまい、日本語の流れ的に不細工になってしまうと言う問題があった。

スペースがスペースだし、まったく性質の違うフォントが混在している状態なので、完璧はほぼ無理と言うのはあったんだけど、出来る限り改行は日本語の流れ的に綺麗なものにし、読む際に躓かないようには意識している。
そのため、割と手作業的に力技で文字間のピッチをいじってるところがあって、もしかしたら、そこら辺で違和感あるかもしれないなーと。

ここら辺は何が正しいかと言われると議論が沸きそうなので避けるけれども、少なくとも「読みながら躓かない」ということを考えている。特に欧文は変なところで改行されると何がなんだか分からないので、一部では結構無理矢理に押し込んだところとかあったりする。

印刷用データに変換

かたやWEB業界の人。かたやDTP業界の人ってなもんで、それぞれやっぱり領域が違う。

印刷用と言うか、原稿を全て埋めたデータを用意してもらったものの、それを印刷用に修正する作業が想像以上に手間がかかったのは否めない。
この辺は特化している技能がそもそも違うので、仕方が無いとは言え、難しいところだったな と。

とは言っても、これは別にデータ製作者が悪いと言う話ではない。

確かに印刷的な知識を求めなければならない部分はあるものの、印刷所によって結構納品データ形式は違う。
例えばDTP現場の僕であっても、同じようにデータを作成し、違う印刷所に持っていったとしても、速攻で「このデータじゃ駄目」って言われる可能性は十分あるわけだ。

つまり、誰が悪いと言うものではなく、最初から納品データは印刷所に適した形でこちらが修正をしなければならないのは確定済みなのだ。
貰ったデータをそのまま印刷所に流して、「お前が作ったデータなんだから、この出力結果だ。」って言うのは簡単なんだけど、そういうものじゃないぢゃん?

そこは分かる人がちゃんとフォローすればいいだけの話なので、それはそれでいいんだけど

216種類も全部直すのか・・・

って言う絶望感だけはあった。本音を言わせてもらえるなら、結構きっつい。
これもやっぱり時間的な問題で、このときすでにクリスマス目前。ホント、どうすんだこれ。

校了から印刷所へ

とにかく、愚痴っててもぼやいてても何の解決にもならぬ。
今僕に求められてることは、完成させることである。

と言うことに集中し、年末進行大忙しの中、深夜の合間を縫って縫って12月25日。なんとか全ての作業が完了した。
カルタパターンその数216種類。あとはデータを流すだけである。

が、ここで問題発生。
発生と言うか、すでに分かってた。分かってて気がつかないフリとかしてみてたりした。

上記の通り、印刷所にデータを流して、完成までおよそ1週間。
年末であり、ほとんどの場合、12月28日にはほとんどの印刷所も年内営業終了である。

さらにこの時期、年末年始向け出版・チラシ関連の印刷の需要がガチで、とにかく印刷機フル稼働のシーズンだ。
今からデータを持ち込んで、年内に断裁はおろか、出力してもらえるかどうかすら怪しいレベルである。

印刷枚数は合計10800枚。
A3用紙に20枚面付けをし、540枚を一気に出力した後に断裁することになる。

とてもじゃないけど、年内に間に合うことはおろか、年始のイベントに間に合わせることすらできやしない。
印刷所からも「年内は諦めてくんな!」って言われてることもあって、もう生きた心地がしないというかなんと言うか・・・。

そして完成~発送へ

もう間に合わない。
1月6日のイベント無理です。代替手段でやってください。僕逃げます。

と言う極限状態にまでになり、twitterで流れる「イベント参加します!」と言う多くの方の呟きに「やめろ・・・今すぐその発言をやめるんだ!」と言う強烈なプレッシャーを負いながら、どうしたもんかと途方にくれていた12月28日。

カルタが完成したとの報告を受ける。

一瞬「え?」ってなったんだけれども、印刷所の方がありがたい事に機転を利かせてくれ、なんと年内に10800枚全てが刷り上り、断裁が完了したのである。

この時点でとりあえずはギリギリセーフと言うか、逃げる必要はなくなったわけだけれども、まだまだ問題の全ては解決していない。

そう、今度はセットを作らなければならないのである。

今回は予算がギリギリということもあり、予備の枚数は1枚も無い。
さらに、印刷所側でセット分けする時間もないため、全てこちらで仕分け、セット作りをしなければならないのだ。

検品数も当然10800枚である。

これをまずは216種類に区分けし、全て定数になっているかどうかのチェックだけで3日。
さらにそこからセット作りで3日。

発送日は1月4日(北海道だけ最優先で1月3日)

もう、本当にギリギリだった。

その間に箱、箱に貼るシールを全て用意する作業も加わり、全てが手作業だ。
ここはもう腹をくくり、お正月イベントをこなしながら子守をしつつ、深夜になればセット作りにいそしみ・・・ と、新年始まってまだ100時間も経っていないというのに、いきなりの修羅場である。

そんなこんなではあるが、無事イベント分を全て作りきり、各会場に発送して今に至るわけだ。

そんなこんなで完成しました

たった1ヶ月ちょっとと言う超絶短期間ではあるものの、なんとか完成し、皆様の目に触れる機会を得ることが出来たHTML5カルタ。
100点か? と言われればちょっと違うし、満足の出来か? と言われると、そうとも言い切れない。

しかし、限られた時間、予算の中、ベターを目指し、達したと言う実感だけはある。

発行部数も決して多いものとは言えないし、金額的に1セット1800円が安いか? と言われると、やっぱり高いと思う人の方が多いだろう。

しかし、金額も相当打ち合わせを重ね、ギリギリの妥協点として算出された金額でもある。
スポンサーもなく、個人の財布で作り、さらに発行部数も少ないものでもあるので、技術的な薄い本(いわゆる同人誌)の一冊でも購入したと言う気持ちで考えてくださるとありがたい。
(製作終了後、Forkwell様がスポンサーになられたとの事で、masakiからも厚く御礼申し上げます。)

HTML5カルタ製作まとめ

今回の企画参加にあたり、全体的な感想をいうなれば、本当にきつかった。

特に年末はmasakiのフリーランス人生史上最大級の仕事量を抱え込んでおり、その中での製作でもあったので、十分な環境だったとは言いがたいこと。

やっぱり製作過程でいろんな齟齬が生まれ、どうするかこうするかって言う時間が長かったものの、完全なる解決に至るまでの時間を取ることが出来なかったこと。

最終的にデータ製作や検品、仕分け、セット作成に膨大な時間を費やし、さらに納期的なストレスに晒されたことを考えると、きつかった と言う一言しか出てこない。

でも、楽しかった。

これまで踏み込んだことの無い領域に踏み込み、数多くの会場で開催されたイベントの一端を担うことが出来たこと。

製作の上で新たに気づいたこと、デザインや写植的に感じたことのフィードバック。

発送後、相次いで流れてくる「到着したよ!」報告。
当日の楽しかった! って流れてくる参加者からの声。

WEBの世界のものがDTPの世界にやってきて、手を組んで形にしたって事。

どれもが新鮮で貴重な経験だったように思う。

どれだけ苦しんでも、この瞬間があるから報われるって思う時点で、僕は残念で悲しいほどモノ作りが好きなんだろうって思ってしまう。

最後に

僕がこのHTML5カルタ製作において、ずっと思っていたのは「これまでパソコンの中の世界でしかなかったものを形にするってことは、とんでもなく楽しいことのはずだ」ってことだ。

データから物質へ変わる瞬間って言うのはいつでもドキドキするもので、しかも今の時代、誰でもその気になれば自分の思い描いたものを形にすることができるのだ。

例えば自分で名刺を作って出力したって言う人は多いと思う。
でも、もっと発想を広げるなら、個人が本を作ったっていいし、Tシャツやステッカーのようなノベルティを作ったって良い。
一昔前ほど難しいことじゃあない。

思い描いたものを作り、それに手を触れると言うのはこの上なく楽しいものだ。
今回のHTMLカルタも同様に個人が作り、個人で発信したものでもある。

しんどいのはもう懲り懲りだけど、一個人な僕らだって何かを生み出して、何かを形にすることが出来る。

そういうことを結果として残せたのは、本当に良かったと思うし、もしも誰か、何か作りたいものがあるとするなら、一度それを本当に目指してみて欲しいなと思っていたりもするのだ。

イベントで実際に触れられた方、景品として手に入れた方、現地販売で購入された方もおられると聞いているが、このHTMLカルタは僕にとっても可愛い子どもでもある。

用途は様々だろうけれども、僕らも必死で作りました。是非可愛がって欲しいなと思う。

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